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浦野 創
JAERI-Research 2004-027, 131 Pages, 2005/02
Hモードプラズマのエネルギー閉じ込め特性のプラズマ密度依存性,プラズマ形状効果,不純物ガス導入の効果及びコアプラズマの熱流束の影響をそれぞれ解明した。また国際マルチマシンデータベースを用いて、JT-60UにおけるHモードの閉じ込め特性の他装置との比較を行った。高密度領域では、ペデスタル肩の温度の低下に伴って、コア部の温度勾配特性長を一定に保つように中心部温度が低下した。高三角度化及びアルゴン注入によるHモードについても、ペデスタル温度の上昇が炉心プラズマの閉じ込めを決定することがわかった。また炉心プラズマの熱流束が増加しても、温度勾配特性長を一定に保つように熱拡散係数が増大した。国際マルチマシンデータベースを用いた検討では、高三角度化が将来のトカマク炉において適した運転手法であることを示した。
鈴木 覚; 佐藤 治夫
JNC TN8410 2001-028, 36 Pages, 2002/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分における多重バリアシステムの性能評価を目的として、ベントナイトの透過拡散試験により様々な核種の実効拡散係数が取得されている。最近、従来から機構内で行われている方法(非循環型透過拡散試験システム)で、陽イオン(セシウムとストロンチウム)の透過拡散試験を行ったところ、既存の研究結果と全く異なる結果が得られることがわかった。この原因として、透過拡散試験システムの違いが考えられるため、新たに循環型透過拡散試験システムを製作し、拡散試験結果と試験方法の関係について検討した。従来の非循環型と循環型透過拡散試験システムの両者でベントナイトの拡散試験を行ったところ、ストロンチウムの実効拡散係数と塩濃度の関係および拡散係数の絶対値が、試験システムにより全く異なることが明らかになった。現状では、境界条件をより精密に制御できるという点から、循環型透過拡散試験システムの方が正しい結果を与えていると考えられる。また、循環型透過拡散試験システムにおいては、拡散セルと貯留容器が分離しているという利点を生かして、境界条件の制御方法の改良と、温度制御下での拡散係数の取得方法を提案した。
池田 孝夫*; 吉田 英爾*
JNC TJ7400 2000-006, 159 Pages, 2000/02
地層科学研究においては、ボーリングをはじめとする多種多様のデータに基づき地質構造を解析・モデル化し、その結果を3次元的に可視化するとともに、これらの情報に基づき透水係水場を推定して地下水流動解析を行うことが重要である。そこで、これらの評価・検討を支援するシステムとして、各種地質データの解析を支援するLand Mark、地質構造モデルの構築を支援するEarth Vision、透水係水場を推定し地下水流動解析を行うFrac-Affinityから構成される「地質環境データ解析・可視化システム」を平成9年度に開発している。しかし、上記ソフトウエアのうち地下水流動解析を行うFrac-Affinityは、解析対象が飽和解析に限定されていたことから、超深地層研究所の建設に対応してコードを飽和・不飽和解析に拡張することが必要となっていた。そこで本業務では、昨年度の検討を通じてコード拡張の理論的可能性が明らかにされたのを受け、ソルバー等の改良によりFrac-Affinityを飽和不飽和解析に拡張するとともに、超深地層研究所に関連する地下水流動解析の中で実施時期の観点から最も優先順位が高いと考えられる、立坑掘削の影響評価解析に必要なコードの改良を行った。主なコードの改良点は次の通りである。・コードの飽和不飽和解析への拡張・ソルバーの改良による解析可能最大接点数の向上・入出力インターフェースの改良、具体的には主として以下の事項 飽和不飽和解析に対応した入力項目の追加 差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)や流速ベクトルの可視化 エラー情報の充実・飽和不飽和解析に対応した境界条件(自由浸出、涵養)の追加・立坑掘削を模擬するための内部境界の形状や境界条件の経時変化を取り扱う機能の追加・差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)構築方法の改良と、部分的に差分メッシュの密度を調整する機能の追加 これに加えて、飽和・不飽和地下水流動解析に対して拡張したFrac-Affinityにより、立坑掘削の影響解析を含む一連の試解析の実施し、Frac-Affinityの飽和・不飽和解析、特に立坑掘削の影響の評価に対する基本的な適用性を確認した。また、「地質環境データ解析・可視化システム」では、Land Mark、Earth VisionならびにFrac-Affnityの有機的な
石川 清*; 目崎 吉彦*; 鈴木 英雄*; 甲斐 昌宣*; 渡部 俶*; 藤盛 誠二*; 石川 潤一*
JNC TJ7420 99-016, 878 Pages, 1999/06
岐阜県瑞浪市明世町正馬様用地内において、超深地層研究所計画地点の地質環境を把握することを目的として孔長1,012mのMIU-2号孔が掘削された。本報告書は、地表から地下深部までの地質構造、地球物理学的・水理学的特性を把握するためMIU-2号孔で実施された調査の結果をまとめたものである。実施した主な調査項目は次の通りである。1.岩芯の採取・記載、2.岩芯室内試験、3.物理検層(一般検層項目、フローメータ検層、レーダー法シングルホール測定)4.ボアホールテレビ計測、5.水理試験(非定常透水試験(透水試験)、定常透水試験(揚水試験))これらの調査の結果、以下のことが明らかとなった。・MIU-2号の地質は、孔口から深度88.60mまでが砂岩、凝灰岩、シルト岩などからなる瑞浪層群、深度88.60m孔底までが土岐花崗岩類に属する中粒粗粒の黒雲母花崗岩からなる。土岐花崗岩は深度845.7m付近で岩質的に中粗粒の黒雲母花崗岩と優白質の黒雲花崗岩に大きく2つに分けられ、両者は化学組成上も相違が認められる。・深度223.8m付近に開口亀裂を伴う逸水箇所があり、掘削水はこの区間で全量逸水した。深度889.95915.25m間には月吉断層に相当すると考えられる断層破砕帯が存在する。この断層は、遮水帯を形成し、この断層を貫いた深度950m付近から被圧された湧水が発生した。フローメータ検層結果によると、地層水の流入は深度889m付近より認められるが、特に深度945m以深で多く、深度945984m間で全体流入量の80%近くを占めている。揚水試験時に測定した湧水箇所からの湧水量は16 1/min、圧力は1 .38kg/cm sup2であり、フローメータ検層で求められた22.21/ minの流入量とほぼ一致する。・深度119以深の20ヶ所で実施された透水試験結果によると、花崗岩における透水係数の最大値は深度220.90227.40m間の6.66E-06m/secであり、この区間は掘削中 の 透水帯と対応している。また、深度950m以深の湧水箇所に対応する深度932.50959.00m、960.30966.80m、976.70983.20m間の透水係数も、7.86E-073.66E-06m/secと大きな値を示した。その他の区間は、逸水箇所、湧水箇所の近傍を除けば6.60
紙谷 正仁; 小島 久雄
PNC TN8410 97-220, 33 Pages, 1997/12
動燃では、PUREX法をベースとした低除染再処理と簡易な燃料製造法からなる「先進湿式MOX」の概念を提案している。これは再処理/燃料製造/炉の設計境界条件を大幅に合理化あるいは変更し、湿式MOXサイクルを金属燃料サイクル並の簡素なサイクルに変更しようという構想である。この概念では、核燃料物質を低除染でリサイクルすることで抜本的な再処理の簡素化を行う。これに伴って燃料製造工程も遠隔保守セル構造となることから、再処理・燃料製造を一体化した施設内に配置し、廃液処理設備やユーティリティ等を共有することで設備合理化を図る。本報告は、こうした基本コンセプトのもとに施設概念を構築し、建設費の評価を行った結果をまとめたものである。建設費の評価は、現行技術で建設した場合の「現行プラント」、現在継続されているR&Dを反映し、現行の高除染サイクル技術を高度化した場合の「基準プラント」、先進湿式MOXの概念を採用した場合の「先進プラント」の各ケースについて行った。その結果、現行プラント(処理能力;50/y)の建設費を1した場合、基準プラント(50/y)、先進プラント(100t/y及び50/y)の建設費は、それぞれ0.60,0.66,0.50と評価された。
永井 晴康; 山澤 弘実
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(8), p.835 - 846, 1997/08
被引用回数:2 パーセンタイル:23.04(Nuclear Science & Technology)原子炉事故が発生した際に、その対策を行うための時間的余裕を得るために、緊急時対応システムが予報機能を持つことは重要である。そこで、緊急時システムの気象予報モデルとしてメソスケール大気力学モデルPHYSICを適用する方法を提案した。また、PHYSICの初期及び境界条件として気象庁の数値予報モデルの出力であるGPVデータを用いる。PHYSICは、格子間隔が大きいGPVデータを緊急時システムに必要な高分解能のデータに変換することと、領域内部での局地現象を予報する役割を持つ。PHYSICの計算領域は、水平格子点を5050に固定し、格子間隔及び領域の大きさは対象地域において局地風を引き起こす地形を考慮して決定する。モデルの性能評価を行った結果、局地気象場を良く予報できた。
大久保 博生*
PNC TJ1222 97-003, 322 Pages, 1997/03
本年度は、まず、火成活動シナリオについては、専門家判断や解析手法を用いたファーフィールド境界条件パラメータ変動幅の設定とそれの核種移行影響解析への反映を行った。また、地震・断層/隆起・侵食シナリオについては、外部インフルエンスダイヤグラムに基づく解析フレームの作成と境界条件変動幅設定の検討を行い、専門家の主観的判断の必要な項目等を明らかにした。さらに、気候変動/人間活動シナリオについては、各シナリオに関する情報調査を通じた特徴の把握と外部インフルエンスダイヤグラムの作成を行った。次に、シナリオ作成支援システムの高度化については、データベース情報及び階層情報の各表示機能の追加とそれらの情報の整合性のチェック、並びにXI法に基づくシナリオのリスク算出機能の追加を行った。
山本 俊弘
Nuclear Science and Engineering, 125(1), p.19 - 23, 1997/00
被引用回数:2 パーセンタイル:23.04(Nuclear Science & Technology)境界条件の変動によるボルツマン中性子輸送方程式の固有値変化を求める公式を一次摂動並びに厳密摂動に対して導出した。これと同じ表式がRahnemaが採用した手法によっても導出された。この公式の正当性並びに精度を検証するために、この公式を、標準的な真空並びに白色境界条件から少しだけずれた体系に対して適用した。
Ugolini; 吉川 信治; 小澤 健二
PNC TN9410 95-210, 11 Pages, 1995/09
蒸気発生器の出口蒸気温度の正確な制御は、原子力発電所の水/蒸気系全体の性能を向上させるために重要である。本報告書では、制御対象の挙動予測及び制御対象の上流で時間的に先行して観測される境界条件をニューラルネットワークによって制御信号に反映させるアルゴリズムについて述べる。このアルゴリズムはニューラルネットワークを用いたモデル適応制御法(MRACnn)に組み込まれている。MRACnnが原子炉の蒸気発生器のような非線形な機器をも制御できることは既に報じられているが、MRACnnシステムの性能向上のためにニューラルネットワークの特性を更に利用する手法については今まで考えられてはいなかった。本報告書に述べるMRACnnの改良型は高速炉プラントシュミレータと接続して、蒸気発生器出口蒸気温度の制御に用いられた。この結果、制御対象の挙動予測及び制御対象の上流で時間的に先行して観測される境界条件を制御信号に反映させることが制御性能を向上させることを確認した。
永井 晴康; 山澤 弘実
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.671 - 682, 1995/07
被引用回数:4 パーセンタイル:43.23(Nuclear Science & Technology)大気拡散モデルPHYSICの中のメソスケール大気力学モデルを改良し、海岸複雑地形上での性能試験を行った。時間変化する総観規模気象条件をモデル内に導入するために、初期条件及び境界条件を改良した。さらに、積雪地域でモデル計算を行うために地表面温度計算にも改良を加えた。これらの改良により、モデルは1992年の冬と夏に行った気象観測から選んだ4ケースを良く再現するようになった。強い西風時と海陸風発生時の風速場及びその時間変化を再現できた。また、入力データの時間的空間的な密度に依存するモデルの再現性の限界があることがわかった。
永井 晴康; 山澤 弘実
JAERI-Research 95-016, 22 Pages, 1995/03
本報告は、高精度大気拡散評価モデルPHYSICのうち、気象場計算を行うメソスケール大気力学モデルの改良についてまとめたものである。メソスケール大気力学モデルに広域の気象変動を詳細に導入するために、気象庁の総観規模数値気象予報モデルの出力GPVを用いた初期条件及び境界条件の設定が必要である。そこで、GPVデータからPHYSIC用に総観規模気象データファイルを作成するプログラムの開発と、それに対応した気象データの入力、空間内挿及び時間内挿方法の改良を行った。さらに、雲量と地表面湿潤度をGPVデータから計算する方法を開発し、モデルの計算コードに追加した。
永井 晴康; 山澤 弘実
JAERI-Research 94-040, 40 Pages, 1994/11
3次元大気力学モデルPHYSICを改良し、下北半島周辺の局地スケール海岸複雑地形を対象としたモデルで風速場再現計算を行い、現地での気象観測データとの比較を行った。総観規模変動を外部条件としてモデルに導入するために、初期分布及び境界条件を改良した。その結果、モデルの再現性が向上し、24時間以上安定して風速場を再現できるようになった。また、1992年夏季に下北半島周辺で観測された海陸風状の風速分布の再現計算では、計算結果は観測された風速分布及び時間変化と良く一致していた。
板垣 正文; 三好 慶典; 覚張 和彦*; 岡田 昇*; 酒井 友宏*
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(5), p.465 - 476, 1993/05
被引用回数:6 パーセンタイル:55.97(Nuclear Science & Technology)原子力船「むつ」の炉物理試験の過程で制御棒相互間にいくつかの種類の干渉効果が見られた。通常の高温運転下では炉心中央に配置された二つの制御棒グループ間で正のshadowing効果が支配的であり、その効果の程度は相対する制御棒グループの引抜き位置に依存する。炉心外周部の制御棒と炉心中央の制御棒との相互干渉は、これら制御棒の3次元的な位置関係によって正と負の両方のshadowingが起こり得る。約1400Mwd/tの燃焼によって中央に位置する制御棒のワースが増加する傾向が見られたが、この原因は制御棒パターンの燃焼変化に伴ってshadowing効果が減少したためと考えられる。以上のような種々の制御棒干渉効果を正確に解析するためには、制御棒効果を内部境界条件として与えた3次元拡散計算が有効であることが示された。
小林 順; 上出 英樹
PNC TN9410 91-227, 16 Pages, 1991/07
ドイツカールスルーエ原子力研究所(KFK)で行われたタンク型高速炉の水流動モデル実験装置RAMONAを用いたスクラム過渡自然循環試験をAQUAコードで解析した際、解の発散が生じ計算不能となった。この時、圧力方程式の解法をICCG法からPSOR法に切り替えることによって計算を継続することができた。本報告は、ICCG法において計算不能となる原因を解明すると共に、PSORR法によって得られた結果の妥当性を明らかにするものである。この種の解析おいて、計算不能となる原因は密閉空間における体積の減少(シュリンケージ)によるものと考えられる。そこで、密閉空間の単純なモデルを用い、温度変化を伴う過渡計算を行った。又、シュリンケージによる問題を避けるため、出口の形で開放空間を設けたケースについても解析し、両者の比較を行った。これによりICCG法の計算不能の原因を究明し、PSOR法の結果の妥当性を評価した。解析の結果、ICCG法では、密閉空間の設定そのものによって計算不能となること、シュリンケージする問題であっても温度境界条件を工夫した出口を設ける事によりこれと等価な計算が可能となることが明らかになった。一方、PSOR法では、体系が密閉であるか開放であるかによらず計算が可能であること、その結果はICCG法による結果とほぼ同一であることが明らかとなった。
村松 壽晴
PNC TN9410 90-095, 236 Pages, 1990/07
高速原型炉「もんじゅ」の炉容器熱流動解析を単相多次元熱流動解析コードAQUAを用いて行なう場合の、標準的な3次元解析モデルおよび2次元解析モデルを作成した。この標準解析モデルの計算総セル数は、それぞれ23270セルおよび2004セルである。ここで作成した標準解析モデルを用いて、平行炉心第10サイクル末期の定格負荷運転状態からの自然循環事象(外部電源喪失事故+ディーゼル発電機起動失敗)を例に取り、その予備解析を実施した。得られた結果は、以下に示す通りである。(1) 定格運転状態での炉内流量配分は、各流量領域の設計値に対して、3次元解析モデルで最大10%、2次元解析モデルで最大20%の範囲内で一致する。(2) 事象開始後、上部プレナム内に温度成層化現象が発生するものの、その解消過程は3次元解析モデルの結果の方が早い。(3) 3次元解析モデルによる被覆管肉厚中心温度は、制限値675を上回らず、炉心は安定に冷却される。
畑中 耕一郎*
PNC TN8410 90-016, 198 Pages, 1990/03
ORNLで開発,公開されている地層中核種移行計算コード「FEMWASTE」の改良を行い,機能を拡張する。また,改良したコードの検証を行い,その妥当性を確かめる。「FEMWASTE」で,その数理モデルに考慮していない湧き出し及び崩壊系列の効果を新たに組み込み,コーディングを行い,他のコードや解析解との比較計算を行う。「FEMWASTE」に対して,他のコードや解析解の同一条件での計算の比較を実施すると同時に,境界条件の経時変化,地表面に放出される核種量の計算,非定常計算のリスタートも取り扱えるようにした。さらに入力データガイドも作成し,入力データ作成時に参照出来るようにした。検証に関しては,伝熱計算コード「TRUMP」で湧き出しの計算,また,Batemanの式の解析解で崩壊系列の計算の妥当性を確める為に比較計算を行った。結算結果は両ケースとも良く一致した。地層処分システムの性能評価をより現実的に行う事が可能となった。しかし,計算領域が2次元である,線型吸着しか取り扱えない等の点については今後改良の予定である。なお,今回開発したコードに「FEMWASTE-PNC」と命名した。
中村 秀夫; 川路 正裕; 安濃田 良成; 小泉 安郎; 田坂 完二
Proc.2nd Int.Topical Meeting on Nuclear Power Plant Thermal Hydraulics and Operations, p.1 - 102, 1986/00
ROSA-IV計画では、二流体二相応モデル開発の一環として、小型定常二相流実験装置(TPTF)を用いた大口径水平配管内での高温高圧-水蒸気二相流実験を実施している。今回は、スラグ流発生に対する、圧力および配管口径の影響について、層状流-スラグ流遷移境界を中心にして報告する。内径180mm、10m長配管と、分離型入口ミキサーを用いて行なった実験結果と、既存の水-空気大口径配管実験結果との比較より、次のことが明らかとなった。 (1)大口径水平配管において、層状流-スラグ流の遷移境界条件は、約90気圧以下の水-蒸気系と、大気圧下の水-空気系でほぼ同一の結果が得られた。 (2)TPTFの実験条件下では約90気圧以上ではスラグ流は観測されなかった。 (3)層状流-スラグ流遷移はKelvin-Helmholtzの不安定性理論に基く波の増幅過程が主要因とされているが、TPTFの30気圧での実験結果は、Walltsらの実験式、三島らの理論式とよく合うことが明らかとなった。 内径87mm、6.4m長配管を、レデューサを介して設置して行った実験では、層状流-スラグ流遷移が、内径180mmと50mm以下の配管で得られた境界の中間の領域で生じることが明らかとなった。
馬場 恒孝; 阿部 清治; 小林 健介; 田代 晋吾; 佐藤 一男; 荒木 邦夫
JAERI-M 9388, 50 Pages, 1981/03
高レベル放射性廃棄物を地層処分した時、この廃棄物の崩壊熱による発熱で周辺地層の温度上昇がおこる。この周辺地層の温度分布を評価するために、計算コード「HOT」を開発した。「HOT」は定常または非定常の熱伝達の問題として、複雑な地層内の温度分布を計算するために作られたもので、三次元有限差分法を採用している。本コードによる計算の対象領域は直方体(例えば、1000m1000m5000m)であり、この領域は幾つかの岩石層から成るとし、計算に先立って岩石層を定めることができるものとした。HOTコードの特徴は、あらかじめ大きな領域で計算を行い、その結果を境界条件として小さな領域での計算を実行できることである。本コードはFORTRAN-IVで書いており、使用計算機はFACOM-M200である。
増岡 隆士*; 河村 洋; 岡本 芳三
日本機械学会論文集,B, 423, p.2157 - 2162, 1981/00
多孔質内の自然対流を解析するにあたって、固体壁面における境界条件を如何にとるべきかを検討した。この種の解析においては、基礎方程式中の粘性項を無視することが多いため、固体壁面上での速度は有限とみなす、つまり面すべりを許すことが多い。本報では、この近似の妥当性を検討し、場合によっては、速度がゼロとするよりも面すべりを許す方がよい結果を与えることを示した。
巽 瞭子*; 本間 裕貴; 矢本 昌平*; 高原 啓輔*; 石橋 和大*; 畑山 明聖*
no journal, ,
ITERや原型炉など高出力のプラズマ核融合装置開発を念頭に、今後さらに信頼性の高いプラズマ輸送シミュレーションコード開発と輸送モデル高度化が求められる。これまで、周辺領域における核融合プラズマ流体方程式は主に次の2つの解法で扱われてきた:(1)SOLPSやSONICなどにおける有限微分法。(現在は空間について2次元で扱っている。空間3次元化によるモデル高度化は計算量の増大がネックとなっている。)(2)EMC3やE3Dなどにおけるモンテカルロ法。(テスト粒子を用いたモンテカルロ法によって流体方程式を解く。空間3次元化によるモデル高度化は比較的容易であるが、適切な境界条件の設定が難しい。)本研究では上記有限微分法とモンテカルロ法によるプラズマ流体方程式解法のベンチマークを行うと共に、モンテカルロ解法の適切な境界条件の設定について体系的に明らかにすることを目標とする。1次元問題のベンチマークテスト計算の結果、密度・モーメンタム・エネルギー保存の式それぞれにおいて、有限微分法とモンテカルロ法による解の良好な一致が得られた。